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ロング・エンゲージメント

第一次世界大戦下のフランスでの物語です。19歳のマチルドが、戦地で消息を絶った恋人のマネクの生存を信じて、マネクの消息を辿っていきます。
マチルドは幼い頃に小児麻痺を患い片足が不自由、また両親を亡くし叔父夫婦に育てられてきました。マチルドを気遣うやさしい少年マネクと仲よくなり、海辺の灯台に一緒にのぼっては、絆を強めていきます。そうして成長し、恋人同士になります。そんな二人のピュアな恋を描いたシーンは、透明感にあふれ、涙がでるほどに幸福で心強く、あたたかいのです。
 戦地に赴いたままのマネクの情報の端をつかんだマチルドは、マネクと一緒にいたと思われる兵士たちの遺品を頼りに、不自由な体であちこちへ出向き、手紙を書き、人に会って話をきき、捜索を続けていきます。そうして出会う兵士やその縁者たちそれぞれの、味のある個性がとても面白く、ひきこまれていきます。マチルドが雇った探偵ジャルマン・ピール、両親の遺産を管理し幼い頃からマチルドを支えてきた弁護士、そして突然現れて新たな展開をもたらす、際立った個性の持ち主セレスタン・プー。マチルドの懸命の捜索を、それぞれの思いから、助ける様子はとても興味深く感じました。
 育ての親である叔父夫婦とすごす場面は、家庭のあたたかさや家族の愛とともに、恋人への思いだけは家族とも共有できない、マチルドの孤独も感じさせます。
マネクと過ごした兵士たちそれぞれの物語にひきこまれていくうちに、マチルドの捜索では謎が解けたり迷宮入りしたり、あきらめたり希望をつないだりしていきます。
 映画の中で特に印象的なシーンは、兵士の恋人だった売春婦のティナが、次々に恋人の仇をうっていくところでした。恋人を死に追いやった人間を追い詰め殺すために、自分の持てる限りの力を使い、それをやり遂げることで自分が罪を背負い刑を受けることなどもはやどうということもない、というティナには、女の強さと美しさが、いやというほど映し出されていました。
 全編がセピア調の画面は本当に美しく、当時を再現する背景や衣装、壮大なセット等にも目を見張るものがありました。ピュアな若い恋人だったマチルドとマネクを、戦争がどう変えたか、どう変えなかったのか、何より大事なものに気づかされるラストシーンの、静かに輝く風景は、心に残ります。

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