映画レビューブログ

おすすめ映画のレビューブログです

メランコリア

メランコリア』は、ラース・フォン・トリアー監督によるデンマーク映画です。
冒頭、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」が流れる中、印象派の絵画を思わせる複数の静止画が描写され、ある終局に関する事柄が示唆されます。


しかし、その示唆された終局とは真逆の、結婚式の模様から映画は始まります。
舞台はヨーロッパのどこか、田園風景が広がるとある別荘です。そこで若い二人による馬鹿馬鹿しいけれどハッピーな結婚式が家族臨席のもと挙行されるのです。しかし突然マリッジブルーに襲われた花嫁が結婚を拒否するような言動を示し始めます。花嫁の姉が必死になだめパーティーを維持しようとしている最中、別の事柄が発生するのです。


映画の中盤以降の展開には、本当に度肝を抜かされます。
この映画はSFでもミステリーでもなく、シリアスなドラマなのですが、とにかく「まさか」と思わせる終局が待っています。いくら冒頭で示唆されているとはいえ、その終局が前半で展開されていたドラマとは全く関係がなく、しかもその終局に対して登場人物が対抗することなどできはしないので、登場人物達が終局に晒される状況を観客はただ唖然と見守ることしかできないのです。


この点がよくあるアメリカのパニックアクション映画とは真逆なのです。アメリカ映画だと、ヒーローが活躍することで地球の破局が救われ、最後はハッピーエンドになるのですが、この『メランコリア』ではそのようなハッピーエンドにはなりません。
映画の最後には、映画史上屈指のラストシーンが待っています。しかもバッドエンドを迎えるラストシーンが、です。
世界で最も幸せな国、デンマークの作品とは思えないほどの、悲劇的で救いのない、絶望感に満ちた終わり方をこの映画は迎えます。
見た者はすべて文字通り、メランコリー(憂鬱)になるに違い有りません。
しかしその終局があまりにも美し過ぎるのです。もし世界の終わりがこのように美しいものであるならば、このように私たちの人生は終わってもいいのではないか、と思えるほどです。
このように『メランコリア』はあまりにも破局的な終わりを迎える救いのない映画ですが、ただひたすら最後の瞬間の美しさだけが、その救いのなさを救っていると言うことが出来るほど、美しい映画でもあるのです。

メランコリア [Blu-ray]

メランコリア [Blu-ray]